
- 偽膜性大腸炎(pseudomembranous colitis: PMC)
- Clostridioides (Clostridium) difficile(C.difficile)感染による臨床病態である。
- 発生機序
- 抗菌薬投与により正常腸内細菌叢が破壊され菌交代現象が起こり、腸内細菌の一種で多くの抗菌薬に耐性を有する C. difficile が増殖し、本菌の産生する toxin が腸管粘膜を傷害するというものである。
- 自覚症状
- 下痢が主体であるが、程度の軽いものから粘液を伴うもの、さらには重篤なものまで多彩である。ガイドライ ンではBristol Stool Form
Scale 23)が 5(半固形の軟らかい便)以上、24 時 間以内に 3 回以上もしくは平常時よりも多い便回数を目安と定義されている。食思不振、腹痛、腹膜刺激症状や発熱を伴うこともある。白血球
増多を伴い、ときに著しい増加をきたす。重症例では広範な潰瘍形成をともない血性下痢となる。また、蛋白漏出が起こり、低蛋白血症、低アルブミン 血症、低免疫グロブリン血症が出現し、著明な例では浮腫、胸水を呈することがある。合併症として、蜂窩織炎、敗血症、膿瘍、関節炎、脱水、電解質
異常などをきたす。最も重篤な例では、中毒性巨大結腸症(toxic megacolon) を呈し、致死的な病態ともなりうる。
- 治療の原則
- まず第一に発症の契機となった抗菌薬の投与を可能な限り中止することである。
C. difficile が産生する毒素の排出を遅延させ、腸管粘膜傷害の促進と病態の悪化を招く恐れがある止痢剤や、コデイン、モルヒネといった腸管運動抑制剤は使用しない。また、
脱水症状が認められる場合は適宜、補液を実施する。
我が国での標準的な治療法としては、バンコマイシン(vancomycin)あるいはメトロニダゾール(metronidazole)の内服である。